和田誠『ねこのシジミ』 [お気に入り猫作品]
雑誌なんぞを片付けようと思って、
空っぽにして置いておいたかごがリズムは気に入ったみたい。
西日を浴びながら気持ち良さそうに落ち着いています。
横から見ると、牢屋に入ってるみたいだけど。
その上にのっかっているのは、猫好きで知られるイラストレーター
和田誠の絵本『ねこのシジミ』。
拾われて和田家にやってきたシジミちゃんが
何でもないけど幸せな日常生活を独白しています。
猫好きが物語を書くと、どうしてこうも淡々としてしまうのか、と
いつもながらに呆れてしまう、猫らしさ満点の絵本です。
奥さんの平野レミらしき人も登場するのですが、
ねこのシジミちゃんより数倍も笑えます。
どっちが主役かわかりません。
おそるべし平野レミ。
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武田花 [お気に入り猫作品]
武田花の野良猫写真とエッセイが好きです。
大きな事件は起きないし、ちょっとした事件もサラリと語られ、
ボロボロの猫の写真も思わせぶりではありません。
実に何でもない風景ばかり。
野良猫を追いかけている武田花の日常は、
小さなか弱い命の灯火をありのまま見つめることで、
静かだからこそ、強い思いが伝わってきます。
近頃、大きな声で大きなことを語る人が多いけど、
人の営みの幸せや悲しみは、
小さな声で語られる小さなことの中にあるのにと、
つくづく思います。
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大きな事件は起きないし、ちょっとした事件もサラリと語られ、
ボロボロの猫の写真も思わせぶりではありません。
実に何でもない風景ばかり。
野良猫を追いかけている武田花の日常は、
小さなか弱い命の灯火をありのまま見つめることで、
静かだからこそ、強い思いが伝わってきます。
近頃、大きな声で大きなことを語る人が多いけど、
人の営みの幸せや悲しみは、
小さな声で語られる小さなことの中にあるのにと、
つくづく思います。
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猫に時間の流れる/保坂和志 [お気に入り猫作品]
芥川賞をはじめいくつか文学賞を受賞しているし、
デビュー当時は高い評価を得ていましたが、あまり知られていない作家です。
ここ10年くらいは、ほとんど作品を発表していないし。
特徴は2つ。ほとんどの作品に重要な役割として猫が登場することと、
日常の何でもないことをただただこまやかに描写しているだけということ。
単行本を新刊で買った人は「金返せ」と思ったかも、
っていうほどの「何でもなさ加減」は、驚異的と言ってもいいくらいで、
小説の定義すらわからなくなってしまいます。
本人は自らの文学論に中で、それこそが小説だと言っていて、
特定の設定や特別な出来事を描くことを否定していますが、
たぶん、それって単に猫好きだからなんだと思います。
毎日猫と過ごしているからそうなっちゃったんだと思います。
ちなみに芥川賞を受賞した『この人の閾』に対して選考委員の日野啓三は、
「明日世界が滅ぶとしたらこんな最後の一日を過ごしたい」と言っています。
それくらい「何でもない日常」ってことです。
「ぜひ」にとはお勧めしにくいお気に入りです。
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水木サンの猫 [お気に入り猫作品]
『猫絵十兵衛御伽草子』を読んで「何かに似てるな」
と思い、本棚を眺めて考えてみました。
たぶんこれの記憶と重なったんだと思います。
猫又をはじめとする物の怪が登場する、猫を扱った漫画
という共通点があるだけのことでした。
水木しげるの、猫が登場する作品のアンソロジーです。
水木しげるも猫好きとして知られていますが、
これは『猫絵十兵衛』と比べると、
あざとくないと言うか、「いい話」に落としていないぶん、
伝奇物語らしい厳しい人間への批判が感じられて大人向けです。
それにしても、漫画でも小説でも、猫を扱ったものは、
猫を擬人化したものが多いですね。
ぼくも「ドラムがしゃべれたらいいのにな」とよく思うから
その気持ちはよくわかりますが、
好みとしては、猫が猫のまま登場するもののほうが好きです。
いずれにしても、猫って人間にとって、
いろんなことを考えさせる動物だということなのだと思います。
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猫絵十兵衛御伽草子 [お気に入り猫作品]
火曜日、友人がお勧めだと言って第一巻をくれたので、
帰りの電車で一気読みしました。
舞台は江戸。
人間の絵は下手だけど動植物の絵は滅法上手い絵師と、
いつも行動を共にしている猫又が主人公。
行く先々で起こる猫にまつわる事件を解決したりしなかったり。
猫は、人間が見失いがちな情愛や誠意の象徴、
あるいは抗い難い自然界の摂理の象徴として登場しますが、
達観し飄々とした主人公の醸す雰囲気もあって、
強い主義主張が感じられる作品ではありません。
猫好きはもちろん、猫好きでなくても、
エンタテインメントとして気軽に楽しめると思います。
(もう第二巻はアマゾンに注文しました)
ただ、何となく似た話を読んだことがあるような気がするので、
近いうちに本棚の猫ものコーナーを探ってみます。
ちなみに「猫の絵は上手いけど人間はいまいち」であるのは、
作者自身の自覚を投影したものと思われます。
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